万事よろず)” の例文
旧字:萬事
家運衰退のもとにも、蒲鉾不持ふもてのわけにも、本人としては何か心当りでもあるかして、生来の担ぎ屋が、女房の失踪後は、万事よろずにつけてまたいっそうの縁起ずくめ。
わが慰めとなり、わが友となり、わが筆を教え、わがこころを養いし林や流れや小鳥にまでも別れを告げばやとかくは装衣いでたちぬ、されど翁にはひとまず父の家に帰りて万事よろず仕度したくを終えし後
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
高いところなら猫の額でも山という名をつけたがるのが万事よろずに大袈裟な江戸者の癖で、御他聞に洩れず半ば塵埃ごみ捨場のこの小丘も、どうやら見ようによってはそうも見えるというので
自分さえなければ万事よろずまるく納まりそう。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)