丁字風呂ちょうじぶろ)” の例文
かれは起きるが早いか、丁字風呂ちょうじぶろを出て、今日はハッキリとした目的あてのあるものの如く、音羽を経て、目白の台へスタスタと上ってゆく。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藤川庄三郎は丁字風呂ちょうじぶろの蔭に隠れていたは、愚痴な女に男の未練で、腹立紛れに美代吉をん殴って出たが、まだ腹が癒えず、何うも身請をされては男の一ぶんが立たんと
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
丁字風呂ちょうじぶろだの、何風呂だのと、いろいろある。白壁みたいな顔した女どもが唄っていたり、蒟蒻こんにゃくみたいな男が出たり這入はいったりしているのですぐ知れるよ
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実はゆうべ、丁字風呂ちょうじぶろの二階に寝つつ、さまざま猟奇的な空想を馳せているうちに、かれは、にわかにもう一度「ばてれん口書」を手にして見たくなったのです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丁字風呂ちょうじぶろの裏門から、すっと中に消え込む十八、九の色子いろこがある。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)