“一運（チイフ）” の例文
一運（チイフ）は頤（あご）で為吉を指した。ボストンはちらっと彼を見遣って黙って先に立った。為吉は一歩室外（そと）へ踏み出そうとすると
上海された男 (新字新仮名) ／ 牧逸馬(著)
「はっはっは——」と一運（チイフ）が笑い出した。「水上警察と傭船会社（エイジェント）からの無電（ワイヤレス）で船が呼戻されたのだぞ。警察へ護送される途中だったってえじゃないか、はっはっは」
上海された男 (新字新仮名) ／ 牧逸馬(著)
真蒼になって為吉は寝台（パアス）の上に俯伏した。一運（チイフ）と水夫長（ボウシン）とが何か小声で話し合っていた。
上海された男 (新字新仮名) ／ 牧逸馬(著)