一網打尽いちもうだじん)” の例文
辰次が秤座を抜出して海賊橋の隠れ家に来たところを一網打尽いちもうだじんにされてしまったのです。
「ヤ、御苦労でした。大成功です。賊の首魁しゅかいが死んでしまったのは、少々残念だが、これも天罰と云うものでしょう。手下共は皆あちらの部屋に縛ってあるのですね。一網打尽いちもうだじんでしたね」
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
右の面々が一網打尽いちもうだじんに引上げられ、厳重なお取調べを受けた上に、人相書まで取られたり、爪印をいられたり、お陣屋へお留置とめおきを食った上に、ようやくのことで釈放されたという次第で
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
利助の子分は、お品の指図を待つまでもなく、疾風しっぷうのごとく本堂に乱入します。間もなく、綱吉も役僧も藤次郎も一網打尽いちもうだじん、検使の役人のために数珠じゅずつなぎにされてしまいました。
「だが、二十面相さえとらえてしまえば、手下なんか一網打尽いちもうだじんだよ。それにぬすまれた塔はにせものだっていうじゃないか。ともかく親玉さえつかまえてしまえば、こっちのもんだ。ああ、早く出てこないかなあ。」
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一網打尽いちもうだじんにやってしまわねばいかぬわい」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)