一波瀾ひとはらん)” の例文
「修理どの(勝家)には、御二男の信雄様を措いても、信孝様を、次のお世嗣よつぎに立てんの下心したごころと思わるる。はて、一波瀾ひとはらんはまぬがれまいぞ」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
津田は心の中で、この叔父と妹と対坐たいざした時の様子を想像した。ことによるとそこでまた一波瀾ひとはらん起したのではあるまいかといううたがいさえ出た。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一波瀾ひとはらんを生じた刑事事件はこれで一先ひとま落着らくちゃくを告げた。迷亭はそれから相変らず駄弁をろうして日暮れ方、あまり遅くなると伯父におこられると云って帰って行った。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)