“しやうけい”の漢字の書き方と例文
語句割合
惝怳100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さうして又その主人公が、何処かに住んでゐさうな所に、惝怳しやうけいの可能性を見出みいだすのであらう。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
何処にもゐるとは云へぬかも知れぬ、が、何処かにゐさうだ位の心もちを含んだ言葉である。人々はその主人公が、手近てぢかに住んで居らぬ所に、惝怳しやうけいの意味を見出みいだすのであらう。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
が、多少注意をすれば、其処そこには必しも幸福のみが住まつてゐない事がわかるかも知れない。これは遠い何物かに、惝怳しやうけいを持つた微笑である。同時に又手近い一切いつさいに、軽蔑を抱いた微笑である。
好色 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
クリストは我々に天国に対する惝怳しやうけいを呼び起した第一人だつた。更に又彼の逆説は後代に無数の神学者や神秘主義者を生じてゐる。彼等の議論はクリストを茫然とさせずにはかなかつたであらう。
西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)