“おおついたて”の漢字の書き方と例文
語句割合
大衝立100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
呵々からからと気違いじみた笑いを突走らせるのは、黒髪も衣紋えもんも滅茶滅茶に乱した妖婦お小夜、金泥きんでいに荒海を描いた大衝立おおついたての前に立ちはだかって、あでやかによこしまな眼を輝かせます。
その中に、ひさしに唐辛子、軒にだいだいの皮を干した、……百姓家の片商売。白髪の婆が目を光らして、見るなよ、見るなよ、と言いそうな古納戸めいたなかに、字も絵も解らぬ大衝立おおついたてを置いた。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伸子は、毎朝のことだが一種速まる鼓動を感じつつ、大衝立おおついたてで通り路から遮られた一つの机に近よった。佃はもう自分の講義に出て行った後であった。机の上に見馴れた彼の黒革鞄が遺してある。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)