“いたやびさし”の漢字の書き方と例文
語句割合
板屋廂100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こうして道誉はついに、板屋廂いたやびさし牢愁ろうしゅうにおわす先帝後醍醐に、給仕人として、近づくことになったのである。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、つたえ聞いた近郡の地頭や、郷士、法師らの献物けんもつもおびただしく、酒、こうじ、干魚、果物くだもの、さまざまな山幸やまさちが、行宮あんぐうの一部の板屋廂いたやびさしには山と積まれた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひん曲った板屋廂いたやびさしの下や、荒壁と荒壁の路地のあいだから、この界隈かいわいの子達が、あせもだの腫物できものだの、鼻くそ光りの顔をもって、羽の強い虫みたいにいま飛び出して来た。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後醍醐はそこにとらわれておいでだった。陽あたりの悪い冬木立のうちに寒々と見える板屋廂いたやびさしの古建物がそれである。——それをめぐッて、はるか遠くの四隅よすみに急ごしらえの仮屋建ての兵舎があった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)