“いさりび”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
漁火95.0%
漁灯5.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
静かな庭に、松の影が落ちる、遠くの海は、空の光りにこたうるがごとく、応えざるがごとく、有耶無耶うやむやのうちにかすかなる、耀かがやきを放つ。漁火いさりびは明滅す。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、漁火いさりびの一つが、動き出した。静かに辷って行く灯を眼で追っていると、小さな浮島の陰に隠れてしまった。
ひとりすまう (新字新仮名) / 織田作之助(著)
偉なる高麗焼こまやきの大花瓶に一個の梵鐘ぼんしょうが釣ってあり、また、銀の大襖おおぶすまにつらなる燭台の数は、有明ありあけの海の漁灯いさりびとも見えまして、さしも由緒ある豪族の名残はここにもうかがわれる。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)