労働者の居ない船ろうどうしゃのいないふね
こう云う船だった。 北海道から、横浜へ向って航行する時は、金華山の燈台は、どうしたって右舷に見なければならない。 第三金時丸——強そうな名前だ——は、三十分前に、金華山の燈台を右に見て通った。 海は中どころだった。凪いでると云うんでもないし …