須臾しばらく)” の例文
待つこと須臾しばらくにして詩人我に曰ひけるは、彼もだすために時を失ふことなく、なほ問ふことあらばいひて彼に問へ 七九—八一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
明日霊銑むらの少年と湖辺に鼓噪こそうすると須臾しばらくして波湧き激声雷のごとく、二牛あいせるを見るにその一いとくるしんで腹肋皆白し、霊銑後の蜃にてると水血に変じ
然れども須臾しばらくにして国内平定するや政府おおいに教育の道を講じ俳優芸人にも教導職の名を与ふるに及び、浮世絵師もまたその品位を高めんと欲し錦絵に歴史の画題を取りぬ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
つきて、面影おもかげゆべくは、たれかまた哀別離苦あいべつりくふものぞ。たかれいよ、須臾しばらくあひだかへれ、に。きみにあこがるゝもの、あいらしくかしこ遺兒ゐじたちと、温優貞淑をんいうていしゆくなる令夫人れいふじんとのみにあらざるなり。
芥川竜之介氏を弔ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ト落胆した容子ようす須臾しばらくあッて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
『類函』に虎能く人気を識る、いまだ百歩に至らざるに伏してゆれば声山谷に震う、須臾しばらくして奮い躍りて人をつ、人勇ある者動かざれば虎止って坐り逡巡ためらい耳をれて去ると。
こしもとをしてはうきひともたいまつごとくにしてあまねせしむ。令史れいしあわまどひて、かたはらにありおほいなるかめなか匐隱はひかくれぬ。須臾しばらくしてつまはやうまりてゆらりと手綱たづな掻繰かいくるに、はうきしたり、こしもとるべきものなし。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
細雨須臾しばらくにして歇む。晡下凌霜子來り話す。
荷風戦後日歴 第一 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)