金時計きんどけい)” の例文
御蔭おかげられた品物しなものまたもどりましたよ」とひながら、白縮緬しろちりめん兵兒帶へこおびけた金鎖きんぐさりはづして、兩葢りやうぶた金時計きんどけいしてせた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのみせには、ガラス内側うちがわに、宝石ほうせきはいった指輪ゆびわや、金時計きんどけいや、ぎん細工さいくをしたえりかざりや、寒暖計かんだんけいや、いろいろなものがならべてありましたが、なかにも
角笛吹く子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おどろいたかほをして、ちよつきをがつくりと前屈まへかゞみに、ひぢかに鯱子張しやちこばらせて、金時計きんどけいめながら
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蒲田屋かばたや旦那だんなのやうに角袖外套かくそでぐわいとうなにてね、祖母おばあさんが仕舞しまつて金時計きんどけいもらつて、そして指輪ゆびわもこしらへて、卷煙草まきたばこつて、ものなにからうな、おいらは下駄げたより雪駄せつたきだから
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
金時計きんどけいだの金鎖きんぐさりいくつもならべてあるが、これもたゞうつくしいいろ恰好かつかうとして、かれひとみうつだけで、ひたい了簡れうけん誘致いうちするにはいたらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
よい/\の、いぬの、ばゞの、金時計きんどけいの、淺葱あさぎふんどしの、其上そのうへに、子抱こかゝへ亭主ていしゆには、こりや何時いつまでもせられたら、くらまうもれぬぞと、あたふた百花園ひやくくわゑんげてる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其癖そのくせかれ一々いち/\絹糸きぬいとるした價格札ねだんふだんで、品物しなもの見較みくらべてた。さうして實際じつさい金時計きんどけい安價あんかなのにおどろいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まなこするどはなうへしわ惡相あくさうきざそろへる水々みづ/\しきが、小紋こもん縮緬ちりめんのりうたる着附きつけ金時計きんどけいをさげて、片手かたてもすそをつまみげ、さすがに茶澁ちやしぶはぎに、淺葱あさぎ縮緬ちりめんからませながら、片手かたてぎんくさりにぎ
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)