脊負せおひ)” の例文
あけよ/\と制しけるゆゑ人々動搖どよめき合て片寄かたよらんとする時彼の文右衞門が女房お政は具足櫃ぐそくびつ脊負せおひ差替さしがへの大小等を引抱ひきかゝへし事なれば女の力にては人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
目かれせねばしばしやすらひたるに、農夫のうふ二人きたりおの/\かます脊負せおひてかの橋をわたらんとす。
我がしたる事ならねど人々への気の毒を身一つに脊負せおひたるやうの思ひありき長吉も少しは我がりそこねをはづかしう思ふかして、信如にはば小言や聞かんとその三四日は姿も見せず
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かたかけ門口かどぐちへ出る所へ獨りのをとこ木綿もめん羽織はおり千種ちくさ股引もゝひき風呂ふろしきづつみを脊負せおひし人立止りて思はずもみせならべし水菓子のあたひを聞ながら其所そこに居たりし道之助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
無礼ぶれいものめとかたをつきたるゆゑたわら脊負せおひていかでたまるべき、雪の中へよこさまにまろたふれしに、武士も又人になげられしごとたふれければ、田中の者はおきあとも見ずしていそぎゆきけり。
こらへて吉兵衞漸々やう/\起上おきあがり大事をかゝへし身の爰にてむなしく凍死こゞえしなんも殘念ざんねんなりと氣をはげまし四方を見廻みまはせば蔦葛つたかつらさがりてあるを見付是ぞ天のあたへなりと二しなの包みを脊負せおひまとふ葛を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はだかなる所以ゆゑん人気じんきにて堂内のねつすることもゆるがごとくなるゆゑ也。願望ぐわんまうによりては一里二里の所より正月三日の雪中寒気はだへいるがごときをもいとはず、はしらのごとき氷柱つらゝ裸身はだかみ脊負せおひて堂押にきたるもあり。
はだかなる所以ゆゑん人気じんきにて堂内のねつすることもゆるがごとくなるゆゑ也。願望ぐわんまうによりては一里二里の所より正月三日の雪中寒気はだへいるがごときをもいとはず、はしらのごとき氷柱つらゝ裸身はだかみ脊負せおひて堂押にきたるもあり。