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絡
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から
ふりがな文庫
“
絡
(
から
)” の例文
他に
何人
(
だれ
)
も客がなくてそれでお幸ちゃんが出前をもって往ったことがあった。北村さんの右の手はこっちの左の手首に
絡
(
から
)
まっていた。
萌黄色の茎
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お前が気がつく人間なら、
絡
(
から
)
みついたとき腰のあたりを捜して見るところさ、夢中になって一杯飲んで居ちゃそこまでは気が廻るめえ
銭形平次捕物控:349 笛吹兵二郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
二人とも内容を関知せざる由にて、前記銅像の件と共に森栖氏の失踪に
絡
(
から
)
まる不可思議の出来事として、関係者の注意を
惹
(
ひ
)
いている。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
わたくしにしましても、自分を死ぬほど愛している葛岡が、別に
絡
(
から
)
まる永い因縁から年上の女教師に脅迫を以て結婚を迫られている。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「でもさ! ごらんなさいよ。部屋の荷物が引っ
絡
(
から
)
げてあるじゃないの。やっぱり気まりが悪いのね。あんたに合せる顔がないのよ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「いやに逃げるじゃないか」と執念深い刑事は
反
(
かえ
)
って
絡
(
から
)
みついてきた。「ところで一つ
尋
(
たず
)
ねるが、赤ブイ仙太を
見懸
(
みか
)
けなかったか」
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もし枝葉に置く霜の影に透したらんに、細い
腕
(
かいな
)
に袖
絡
(
から
)
み、乳乱れ、
褄
(
つま
)
流れて、
白脛
(
しらはぎ
)
はその
二片
(
ふたひら
)
の布を
流
(
ながれ
)
に
掻絞
(
かきしぼ
)
られていたかも知れない。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それだけでも随分大騒ぎになりそうなところへ、おまけに例の一件が
絡
(
から
)
んでいるんですから、みんな不思議がるのも無理はありません。
半七捕物帳:34 雷獣と蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
竹や
葭
(
よし
)
を綺麗に組み合わせて小さな小屋形のものを作り、それに朝顔を一ぱいに
絡
(
から
)
ませたりしてあるのも、その園内に持っていた。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
物質的にも、肉體的にも蛇の如く
絡
(
から
)
みついて、彼女の肉と血を絞り喰らつて來たひもである。二十七八歳の職人風の小男であつた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
贋金使いは
絡
(
から
)
みつく奴を蹴飛ばして、奪い取るように兵馬の身体を南条という武士の手から受取って、
一本背負
(
いっぽんじょ
)
いに背中へ引っかけて
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それが狂念となって潜んでいるが、時としては表面にあらわれてかれを
脅
(
おびやか
)
した。遺伝というものが
心頭
(
しんとう
)
に
絡
(
から
)
みついていて離れない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
興福寺の宝物の
華原磬
(
かげんけい
)
(鋳物で四
疋
(
ひき
)
の竜が
絡
(
から
)
んだもの)というものを
黄楊
(
つげ
)
で縮写したのを見ましたが、精巧驚くべきものでした。
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
立ちなおろうとしたが、もがけばいっそう
絡
(
から
)
みつくばかり。あわてた与吉が、自分の半纒をかぶって
獅子
(
しし
)
舞いをはじめると……。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
今川義元の
菩提所
(
ぼだいしょ
)
に家康が幼時
人質
(
ひとじち
)
に来ていたという因縁が
絡
(
から
)
んでいる丈けに道具の品目が
夥
(
おびただ
)
しい。義元公自画自讃という掛物があった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
滑稽であったのは、長次郎が一足余分にあったカンジキを草鞋切れの紐を拾って無雑作に
絡
(
から
)
げつけ、よたよたしながら下りたことである。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
見て居る内に、長持の
背
(
うしろ
)
からまた一疋のろ/\這い出して来て、先のと
絡
(
から
)
み合いながら、これもパリ/\卵の殻を喰いはじめた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それも
僅
(
わづか
)
に
桑
(
くは
)
の
木
(
き
)
へ
絡
(
から
)
んだ
晝顏
(
ひるがほ
)
の
花
(
はな
)
に一
杯
(
ぱい
)
の
量
(
りやう
)
を
注
(
そゝ
)
いでは
慌
(
あわ
)
てゝ
疾驅
(
しつく
)
しつゝからりと
熱
(
ねつ
)
した
空
(
そら
)
が
拭
(
ぬぐ
)
はれることも
有
(
あ
)
るのであるが
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
男の素性はよく分からないが、だが、正直で純で、素直で力持ちで、浮世の塵とか垢とかはこの男に毛ほども
絡
(
から
)
まりついていないのである。
猿ヶ京
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
紡績絣に赤い帯をしめた小娘のヤスの姿と、俄にガランとした家と、そこに
絡
(
から
)
んでいるスパイの気配とをまざまざ実感させる文章であった。
刻々
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この互いに
絡
(
から
)
み合っている二匹の白猫は私をして
肆
(
ほしいまま
)
な男女の痴態を幻想させる。それから
涯
(
はて
)
しのない快楽を私は
抽
(
ひ
)
き出すことが出来る。……
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
わが第一の疑ひはこれらの
微笑
(
ほゝゑ
)
める短き
詞
(
ことば
)
によりて解けしかど、一の
新
(
あらた
)
なる疑ひ起りていよ/\いたく我を
絡
(
から
)
めり 九四—九六
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
女の背にはそういう咒文が
絡
(
から
)
みついているのであった。やりきれない卑小な生活だった。彼自身にはこの現実の卑小さを裁く力すらもない。
白痴
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そして、片方の糸を——解けない方だよ——
把手
(
ノッブ
)
の角軸に結びつけないで二回り程
絡
(
から
)
めておいて、間をピインと張らせておく。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
係長は、底意ある眼つきで石田氏の横顔をながめていたが、手ぬるいことでは駄目だと思ったのか、調子を変えて、ネチネチと
絡
(
から
)
みだした。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「あなた方は打破せられた。打破することが有益であることもある。しかし私は憤怒の
絡
(
から
)
みついた打破には信を置きません。」
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
所々に模様に
崩
(
くず
)
した草花が、長い
蔓
(
つる
)
と共に六角を
絡
(
から
)
んでいる。
仰向
(
あおむ
)
いて見ていると広い御寺のなかへでも
這入
(
はい
)
った心持になる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
通ると、犬が五六匹来やがって足へ
絡
(
から
)
まって投げられた、其の時
噛合
(
かみあ
)
った血だらけの犬が来やがって、己に摺附けたもんだから
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
へべれけになって現われ、初めから計画的に酒を
呷
(
あお
)
って来たものらしく、いきなり若林の傍に坐っている銀子の晴子に
絡
(
から
)
んで来るのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
一つ一つ骨に
絡
(
から
)
んだ腸でも手繰り出されるような妙良の悲鳴が、今だに耳の中で真赤な渦をまいて、思ってもぞっとするわ。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
彼は松に
絡
(
から
)
みついて居るあの藤の太い蔓を、根元から、
桑剪
(
くはき
)
り
鋏
(
ばさみ
)
で一息に断ち切つた。彼は案外自分にも力があると思つた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
ところで日常身辺の事実が示しているのは単に物理学的現象のみではなく、化学的・生理学的・動植物学的等の諸現象の複雑な
絡
(
から
)
み合いである。
寺田寅彦
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
私達の心は廣重の圖中にある旅客の氣分と、お伽噺や探險談の中にある傳説的な氣分とが
絡
(
から
)
んで浮世ばなれのした一種の快感を覺えるのでした。
初島紀行
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
柵の向うは廓外のしもたやの縁先になっていて、
葡萄棚
(
ぶどうだな
)
やへちまの棚があって、柵には朝顔の
蔓
(
つる
)
なんかが
絡
(
から
)
みついていた。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
蔓バラを典雅に
絡
(
から
)
み合せた特徴ある図案は、どなただって一度は見て、そうして、記憶しているほどでございますものね。
皮膚と心
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
壁に掛けた小さな額縁には、
蔦
(
つた
)
の
絡
(
から
)
んだバルコニーの上にくっきりと
碧
(
あお
)
い空が
覗
(
のぞ
)
いていた。それはいつか旅で見上げた碧空のように美しかった。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
坊主頭
(
ぼうずあたま
)
へ四つにたたんだ
手拭
(
てぬぐい
)
を
載
(
の
)
せて、
朝
(
あさ
)
の
陽差
(
ひざし
)
を
避
(
さ
)
けながら、
高々
(
たかだか
)
と
尻
(
しり
)
を
絡
(
から
)
げたいでたちの
相手
(
あいて
)
は、
同
(
おな
)
じ
春信
(
はるのぶ
)
の
摺師
(
すりし
)
をしている八五
郎
(
ろう
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
で、早速の気転で、お客の重みで
寝台
(
ねだい
)
が押し潰れないやうに、
鉄線
(
はりがね
)
でもつて、方々を蜘蛛の巣のやうに
絡
(
から
)
めにかゝつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それをきいたかぼちやの
怒
(
をこ
)
つたの
怒
(
をこ
)
らないのつて、
石
(
いし
)
のやうな
拳固
(
げんこ
)
をふりあげて
飛
(
と
)
び
懸
(
かか
)
らうとしましたが、
蔓
(
つる
)
が
足
(
あし
)
にひつ
絡
(
から
)
まつてゐて
動
(
うご
)
かれない。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
例の金銭問題が
絡
(
から
)
んでゐることは夢にも知らないから、ただ、夫との不和、並びに自分への思慕がさういふ行動を取らせたものと思ひ込んでゐた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
あの時以来まだ押入に突っ込んであったフンシを出してやりなどすると、リリーはその間も始終後を追って歩いて、足もとに
絡
(
から
)
み着くようにした。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ジャングルのなにかの樹に
絡
(
から
)
みついていて、おとなの腕ほどもある鎌首をあげ、葉の茂み越しに、向うから近づいて来る探検家夫妻を狙っている。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
先のいらだたしさがいつまた
絡
(
から
)
みついて来るか知れない不安さを感じたので、今度は一番先頭に立って歩いていった。
比叡
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「ねえ、七郎丸、あれはおそらく十年も前のことになるだろうな。今晩は、ひとつ旗に
絡
(
から
)
まるお前の夢について……」
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
写真を見ると、平田と吉里のを表と表と合わせて、裏には心という字を大きく書き、
捻紙
(
こより
)
にて十文字に
絡
(
から
)
げてあッた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
それが金ちゃんの姉のお
鶴
(
つる
)
だということは後で知ったが紫と白の派手な
手綱染
(
たづなぞ
)
めの着物の
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしお
)
ッて
紅
(
くれない
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
がすらりとした長い
脛
(
はぎ
)
に
絡
(
から
)
んでいた。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
其処に人世の暗いものと、心の
葛藤
(
かっとう
)
とがなければならない。結びついて
絡
(
から
)
まった、ついには身を殺されなければならない悲劇の要素があったに違いない。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
怪しい誘惑がいつしか壮助の心に蜘蛛の糸のように
絡
(
から
)
みついて来た。机に向っていてもふと気をゆるめると、彼の耳はじっと階下の物音に澄されていた。
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
あの蒲団に
絡
(
から
)
まる怨霊の恐ろしさに、いまさらながらただただ震え上がらずにはいられなかったのでございます。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
また二、三の蛇、互いに纏うた処を編み物にして戸口に掲ぐる。ペルシアで
絨氈
(
じゅうたん
)
の紋の条を、なるべく込み入って相
絡
(
から
)
んだ画にするも、邪視を
禦
(
ふせ
)
ぐためだ
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
絡
常用漢字
中学
部首:⽷
12画
“絡”を含む語句
連絡
脈絡
掛絡
附絡
引絡
纏絡
足手絡
絡合
籠絡
手絡
聯絡
絡繹
経絡
絡繰
対外文化連絡協会
込絡
繽紛絡繹
袈裟掛絡
足絡
緋手絡
...