真先まつさき)” の例文
旧字:眞先
ときに、真先まつさきに、一朶いちださくら靉靆あいたいとして、かすみなか朦朧もうろうたるひかりはなつて、山懐やまふところなびくのが、翌方あけがた明星みやうじやうるやう、巌陰いはかげさつうつつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
先刻さつき膳を運ぶ時、目八分に捧げて、真先まつさきに入つて来て、座敷の中央へ突立つた儘、「マア怎うしよう、私は。」と、仰山に驚いた姿態しなを作つたであつた。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
真先まつさきの車は父で、それには弟が伴はれて乗つて居ました。私は母の膝の横に居ました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
集つた人達ひとたちはその鶴を捕つてやらうとしましたが、みんなめい/\自分こそは真先まつさきに見付けたのだから、自分が捕るのが当然だと言ひ張つて、はてしがつかず、ガヤ/\と騒いでをるのでした。
竜宮の犬 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
真先まつさき案内者あんないしや権七ごんしちかへつてたのが、ものゝ半時はんときあひだかつた。けれども、あし爪立つまだつてつてには、夜中よなかまでかゝつたやうにおもふ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どんどんとそのあとでまた太鼓を打つた。欄干てすりの前に置いた大きい床机しやうぎの上で弁当を開く近在の人もある。和歌山の親類の客を迎へに停車場ていしやばへ行つて居た番頭が真先まつさきになつて七八台の車が着いた。
住吉祭 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
そんなその、紅立羽あかたてはだの、小紫こむらさきだの、高原かうげん佳人かじん、おやすくないのにはおよばない、西洋化粧せいやうけしやう化紫ばけむらさき、ござんなれ、白粉おしろいはなありがたい……はや下界げかいげたいから、真先まつさき自動車じどうしやへ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
見よ、真先まつさきに、日のかた
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)