此間こねえだ)” の例文
此間こねえだから一疋で六百ずつの立前たちめえになるんでせえ途方もえ事だと思ってるくれえで、これが玉虫とか皀角虫さいかちむしとかをるのなれば大変だが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どうした、そんだが此間こねえだしろかつたんべ、れさてな、あゝ西にしのおとつゝあ、しろぢや徴發ちようはつはさんねえぞ」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「まだごわしねえ、もう出来さうな者だつて此間こねえだ父様とつさまえらく心配しんぺいのうで御座らしやつたけ」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
おれを殺すべえとするだ、われえ知ってべえ、此間こねえだも庚申塚でおれを殺すべえと思って、間違まちげえて圓次郎を殺した時は、われも駆出したくらいだから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ちくいふなきれえだから、そんだがあの阿魔あまもづう/\しい阿魔あまだ、此間こねえだなんざおつかこたおもさねえかつちつたら、おもさねえなんてかしやがつて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「虐使ふどころか、此間こねえだ寝反ねそべつただから、四俵つけるところを三俵にして来ただアが」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
百姓「玄堂げんどうさん/\、此間こねえだ頼んで置いた根本の荒物屋の老爺じいさまを連れて来たから、玄堂さん案内あんねえして上げておくんなせえ」
此間こねえだからなんでさ、ちつとばかしだがちたのりあんさ」おつぎは小笊こざるそこ粒栗つぶぐりして
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
早「他のことでもねえが、此間こねえだわれがに話をしたが、おらうちの客人が病気になって、娘子あまっこが一人附いているだ、女子おなごよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兼「左様そういちゃア尚分らなくならア、此のからす/\かんざえもんとア此間こねえだ御新造が来た夕方の事でしょう」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わしもハア何うかしてお目にかゝりてえと思って心配しんぺえして居やしたが、能くまア来ておくんなせえました、此間こねえだは焼けた跡へ吉原へ駈けてまいりやんして探しやしたが
長「贅沢と云やア雉子きじうちたてだの、山鳩やひよどりは江戸じゃア喰えねえ、此間こねえだのア旨かったろう」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それに此間こねえだちょっくら聞いたが、御当家には智仁勇の三人の家来があるとよ、渡邊織江わたなべおりえさんという方は慈悲深い人だから是が仁で、秋月喜一郎あきづききいちろうかな是はえらきつい人で勇よ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
太「おゝ高平へくか、久しくねえから案じていたが、此間こねえだ五八が来てうち間違まちげえのあった事も聞いていたが、われ母親おふくろのような悪人はねえ、宜く勘弁してこれえているなア」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おおきに御無沙汰をして、からどうも仕様がねえ、貧乏ひまなしで、聞いておくんねえ、此間こねえだ甚太じんたッぽうがおめえさん世話アやかせやがってねえ、からどうも喧嘩けんかぱえいもんだからねえ
下女「お早うござりやす、お寒うござりやす、只今お湯を上げやす、えゝ内の旦那どん、お客あはアお侍様だが、此間こねえだ見たように座敷がえとって、グザラしっても困りやすのう」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此間こねえだもお寺へ行ったら法蔵寺の和尚様ア因果経というお経を読んで聴かせて、因果という者アあるだから諦めねばなんねえて意見をいわれましたが、はアどうも諦めが付かなえで
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
汝がのような奴に惜しいもんだけんど、汝がに食わすと、ぬかしやがるだ、己もあんまり腹が立ったから、何うかして意趣返いしゅげえしをしてやろうと思って、此間こねえだ鹿角菜ひじき油揚あぶらげのおさいの時に
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多「旦那さんお出なさいまし、此間こねえだわしらが留守の所へお出でゞがんしたそうでんしたが、何時もろくな物も上げましねえでお匇々そう/\べい致しやす、今日は又宜くいらっしゃいやんした」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
太「此間こねえだ勘右衞門かんえもんとけへ頼んで置いた、ちっとベエ午房種ごぼうだねを貰うベエと思ってノウ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三藏どんのとこで法事があるで、此間こねえだ此処こゝに女が殺されて川へほうり込まれて有って、引揚げて見たら、まもりの中に名前書なめえがき這入へえって居たので、段々調べたら三藏どんがうちめいに当る女子おんなこ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お前さまが此方こっちへ越してから荒物屋を始めたが、酒でも干物でもやすいんでおお評判だよ、調法だってよ、仕入が皆江戸もんを買って来るだからいでや、此間こねえだ干魚ひものなざア大層てえそううまかったが
めえさんなんぞはそんな事はえがね、中には道楽な坊主があるねえ、此間こねえだも亀屋へ往って浮かれていると、彼楼あすこのおすみという二十四五の、一寸ちょっと小意気な女があるが、大層粋な声がするから
此間こねえだ他処よそから法事の饅頭が来た時、お店へも出ると彼奴は酒呑だからあめえ物は嫌えだろう、それだのにさ、清助われがに饅頭をくれてやる、田舎者だから此様こんな結構な物は食ったことは有るめえ
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)