打解うちと)” の例文
最初はプリプリしてゐた鐵も、平次の心持が解ると次第に打解うちとけて、晩酌ばんしやくを附合ひながら、なめらかに話すやうになつてゐたのです。
二人がこれほどむつまじく打解うちとけて話し合っているのは近頃に珍らしいことで、次の間で聞いているお君もなんとなく嬉しかった。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
思う事を言って打解うちとけて如何どうする気だったか、それは不分明だったけれども、兎に角打解うちとけたかったので、酒を命じたら、果してお糸さんが来て呉れて、思う通りになった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
幼君えうくん御機嫌ごきげんうるはしく、「よくぞ心附こゝろづけたる。かねてよりおもはぬにはあらねど、べつしかるべきたはむれもなくてやみぬ。なんぢなんなりとも思附おもひつきあらばまをしてよ。」と打解うちとけてまをさるゝ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此通このとほ謝罪あやまりますほどに、うぞゆるあそばして、いつものやう打解うちとけたかほせてくだされ、御嫌機ごきげんなほしてくだされとぶるに、さては左樣さうかとすこれて、れならば其樣そのやう
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかし、玉依姫様たまよりひめさまほうでは何所どこまでも打解うちとけた御様子ごようすで、とうと神様かみさま申上もうしあげるよりはむしろ高貴こうき若奥方わかおくがたったお物越ものごしで、いろいろとやさしいお言葉ことばをかけくださるのでした。——
兎角とかく同藩中の子弟と打解うちとけて遊ぶことが出来ずに孤立した所為せいでしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
と弟子は云つて、又自分達をもとの製作室にともなつた。そして前よりは一層打解うちとけた調子で男達と弟子は話すのであつた。自分はまた男達と一緒に先生の未成品を眺めて居る事が出來るのであつた。
巴里の旅窓より (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
前祝いに一杯やろうと夫婦差向さしむかいでたがい打解うちと酌交くみかわし、う今に八ツになる頃だからというので、女房は戸棚へ這入はいり、伴藏一人酒を飲んで待っているうちに、八ツの鐘が忍ヶ岡に響いて聞えますと
弥太郎はまず自分から打解うちとけて見せた。そして、こうもいった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
打解うちとけた、親しげな口調でいった。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
どうで周囲に大勢の人がいては、お里と打解うちとけて話をする機会もあるまい。かたがた今日は早く帰る方がいいと思って、彼は早々に暇乞いとまごいをしてここを出た。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その通りお客を御案内申上げると、主人は直ぐ參りまして、何やら打解うちとけたお話でございました。
そして諸国を行脚なすった内のおもしろいはなしをといって打解うちとけておさならしくねだった。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
打解うちとけた気分きぶんでよもやまの物語ものがたりふけるとったようなことになりました。
と、早速、信玄も打解うちとけて、話しかけた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
して諸国しよこく行脚あんぎやなすつたうちのおもしろいはなしをといつて打解うちとけておさならしくねだつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
主人もわたしに近い椅子に腰をおろして、打解うちとけたやうに話し出した。
赤い杭 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
親身しんみになっていろいろとやさしくわれますので、わたくしほうでもすっかり安心あんしんして、勿体もったいないとはおもいつつも、いつしか懇意こんい叔父おじさまとでも対座たいざしているような、打解うちとけた気分きぶんになってしまいました。
せいもすら/\ときふたかくなつたやうにえた、婦人をんなゑ、くちむすび、まゆひらいて恍惚うつとりとなつた有様ありさま愛嬌あいけう嬌態しなも、世話せわらしい打解うちとけたふうとみせて、しんか、かとおもはれる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
せいもすらすらと急に高くなったように見えた、婦人おんなは目をえ、口を結び、まゆを開いて恍惚うっとりとなった有様ありさま愛嬌あいきょう嬌態しなも、世話らしい打解うちとけた風はとみにせて、神か、かと思われる。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
唯吉たゞきちもこゝで打解うちとけたらしくつた。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
婦人おんな言下ごんか打解うちとけて
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
婦人をんな言下ごんか打解うちとけて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)