廣小路ひろこうぢ)” の例文
新字:広小路
なす治助なるか御意ぎよいに御座りますと答るにコレ此請取に覺えあるかと尋ねければ治助は是を見て此請取は昨日さくじつ廣小路ひろこうぢの店にてあきなひを致し手付てつけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
僕等ぼくらはもう廣小路ひろこうぢの「常盤ときわ」にあのわんになみなみとつた「おきな」をあぢはふことは出來できない。これは僕等ぼくら下戸仲間げこなかまためにはすくなからぬ損失そんしつである。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
どやどやどや、がら/\と……大袈裟おほげさではない、廣小路ひろこうぢなんぞでは一時いつとき十四五臺じふしごだい取卷とりまいた。三橋みはし鴈鍋がんなべ達磨汁粉だるまじるこくさき眞黒まつくろあまる。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あれらぬうち仕方しかたもなし、つて其車それれますものか、れでも此樣こんさびしいところ一人ひとりゆくは心細こゝろぼそいほどに、廣小路ひろこうぢるまでたゞみちづれにつてくだされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くるまきしめく廣小路ひろこうぢ祭物見まつりものみひとごみに
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
呼出し取調とりしらありしに一かう右體の怪我人けがにん見當らざるよしを申により又外々の名主へ掛り尋けるに下谷したや廣小路ひろこうぢ道達だうたつとて表へは賣藥ばいやく見世みせを出しおき外療醫ぐわいれうい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
廣小路ひろこうぢいづればくるまもあり、阿關おせき紙入かみいれより紙幣しへいいくらか取出とりいだして小菊こぎくかみにしほらしくつゝみて、ろくさんこれはまこと失禮しつれいなれど鼻紙はながみなりともつてくだされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼處あすこけると、廣小路ひろこうぢかど大時計おほどけいと、松源まつげん屋根飾やねかざり派手はでせて、またはじめる。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
己が役にして居る所に兩國米澤町の花の師匠にて相弟子の六之助と云ふは同所どうしよ廣小路ひろこうぢの虎屋の息子むすこなるが何事も如才じよさいなく平生へいぜい吉之助とはまじはあつかりしが或時あるとき吉之助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
廣小路ひろこうぢよりながむるに、石段いしだんのぼひとのさま、さながらありとうつるがごとく、はな衣類きもの綺羅きらをきそひて、こゝろなくには保養ほやうこのうへ景色けしきなりき
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だいはやるほどに何處どこ开處そこらまで、めて廣小路ひろこうぢまではつておれとやさしいこゑにすかすやうにいへば、るほどわかいおかたではありこのさびしいところへおろされてはさだめしおこまりなさりませう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さるほどに相添あひそひてより五ねんはるうめころのそゞろあるき、土曜日どえうび午後ごゝより同僚どうりよう二三にんうちつれちて、葛飾かつしかわたりの梅屋敷うめやしきまわかへりは廣小路ひろこうぢあたりの小料理こりようりやに、さけふかくはのまたちなれば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)