好奇心こうきしん)” の例文
そんな羞恥しゅうちと高慢さとの入り混った視線とは異って、私の上に置かれているその少女の率直そっちょくな、好奇心こうきしんでいっぱいなような視線は
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「どうなったろう?」という、好奇心こうきしんこって、なんだか、そのやぶのちかくになると、重苦おもくるしいようなさえしました。
犬と古洋傘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
じいさんのべるところはまだしッくりわたくしむねにはまりませんでしたが、しかしそれがかたならずわたくし好奇心こうきしんをそそったのは事実じじつでございました。
なだれを打ってげかけた群集ぐんしゅうも、このさまをみて、どうなることかと、こわいもの見たさの好奇心こうきしんに、遠くからアレヨアレヨとながめている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諸君しよくん好奇心こうきしんからわざはひまねいたばつとして、海底戰鬪艇かいていせんとうてい竣成しゆんせいしたあかつきにも、裝飾かざり船室せんしつ辛房しんぼうせねばなりませんよ。
「なるほどあなたのようなまじめなかたの好奇心こうきしん満足まんぞくさせてあげましたことはなによりです」とかれは言った。
単に新らしい刺戟しげきのないというだけでも、このくらいの人数が集って私の講演をお聴きになる熱心なり好奇心こうきしんなりは起るまいと考えるのですがどんなものでしょう。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし聴こうと云い出したからはいかに辞退しても許すはずのない春琴である上に母親や姉妹たちも好奇心こうきしんられているのでついに奥の間へ呼び出され独習の結果を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
緊張の気分もやっとれた私は、どこの土地へ行っても起るその土地の好みの服装ふくそうとか美人とかいうのはどういう風のものであろうかと、いつもの好奇心こうきしんいて来た。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その日は天気もよかったので、塾生たちは朝食をすますと、先を争うようにして外出した。事変のあった現場を見たいという好奇心こうきしんもかなり強く手伝っていたらしかった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
X号の秘密を見やぶってやろうという好奇心こうきしんでいっぱいで、この中にどんな恐ろしいものが、かくされているかなどということは少しも考えずに、壁の中へとふみこんだのだった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
四年もいた小林先生のあとなので、子どもたちの好奇心こうきしんはわくわくしていた。小林先生と別れてからも、みんなはまた、こんどくる先生の姿を前方に期待きたいしながら、作戦をこらした。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
僕も好奇心こうきしんでね、話のたねだと思ッたから、そのまま乗って出るとまた驚いた。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それを聞いた子どもたちは、今まで、そうだと思いこんでいたことが、まちがっていたとわかって、ふしぎな気持ちにとらわれましたが、それといっしょに、新しい好奇心こうきしんがわいてきました。
名なし指物語 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
『そしたら、もう万事休すだ』……けれど、不思議な感情が——好奇心こうきしんよりも強く、嫉妬しっとなどよりまだ強く、恐怖きょうふよりも強い感情が、わたしを引止めた。わたしは、じっと目をこらし始めた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
そこで王女は、好奇心こうきしんがうごいたので、遊歩場ゆうほじょうであうとさっそく、この外国紳士がいこくしんしに、話しかけました。なにしろ王さまのおひめさまともなれば、たいして人にえんりょする必要はありませんでした。
おればかりはけっしてねむくなったとて、我慢がまんをしてねむりはしないとこころめて、好奇心こうきしんさそうままに、その「ねむまち」のほうしてあるいてきました。
眠い町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
『一たいこれは何誰どなたかしら……』こころ千々ちぢみだれながらも、わたくし多少たしょう好奇心こうきしんもよおさずにられませんでした。
それでついわたしの好奇心こうきしんたすことなしに、この町を去ろうとしていたとき、ひょんな事情じじょうから、わたしは坑夫こうふのさらされているあらゆる危険きけんを知るようになった。
かれは、掃除そうじをしながら、根気よく鳴りつづけている板木の音に、ふと好奇心こうきしんをそそられた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
これもどうように、なんの支度したくらしいよそおいもしていない。ただ、いささか観衆かんしゅう好奇心こうきしんをみたしたのは、それが白衣びゃくえ白鞘しろさや太刀たちをさした六らしい風采ふうさいだけであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は子供らしい好奇心こうきしんで一ぱいになりながらその庭の中へずかずかと這入はいって行った。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
それは一応絶望の人の言葉には聞えたが、そのひびきには人生の平凡を寂しがるうらみもなければ、絶望からね上って将来の未知を既知きちページって行こうとする好奇心こうきしんも情熱も持っていなかった。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
四人の登山者の好奇心こうきしんは、いやがうえにももえあがった。
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
また、つえなどをつくらなくとも、そのもとはじつにふとく、そしてえだは、おもしろくがりくねっていて、るばかしでも好奇心こうきしんをそそらせるようなものでした。
脊の低いとがった男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしの、活発に鋭敏えいびんはたらおさな想像そうぞう好奇心こうきしんは、この一つのことにばかりはたらいた。
一種のユーモアをまじえた好奇心こうきしんをもって迎えられた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「いまごろ、何人なんびとっているのだろう。」と、あやしみながら、よくつめますと、それは、うつくしい、わかおんなでありました。かれは、好奇心こうきしんから、つい、そのそばにちかづいてみるになりました。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこには学者たちがいて、かれにしぜん、物を読んでおぼえたいという好奇心こうきしんを起こさせた。それでいく年かのあいだためた金を書物を買うために使ったし、その本を読むために休みの時間をついやした。