北方ほっぽう)” の例文
北方ほっぽううみいろは、あおうございました。あるとき、いわうえに、おんな人魚にんぎょがあがって、あたりの景色けしきをながめながらやすんでいました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うわさの朝鮮征伐ちょうせんせいばつが、いよいよ事実となってあらわれた。加藤清正かとうきよまさ小西行長こにしゆきなが毛利輝元もうりてるもとらが、朝鮮ちょうせん北方ほっぽうさして、進軍しているうちに冬となった。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
達吉たつきちなかに、このとき、北方ほっぽう憂鬱ゆううつくろもり景色けしきがよみがえったのだ。そこは、自分じぶんまれたむらである。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
北方ほっぽううみは、銀色ぎんいろこおっていました。ながふゆあいだ太陽たいようはめったにそこへはかおせなかったのです。なぜなら、太陽たいようは、陰気いんきなところは、かなかったからでありました。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
北方ほっぽう荒野こうやなかに、いぬうまけています。そのものがやがて、大軍たいぐんひきいてせてくるにちがいありません。あのおおきなほしひかりは、そのおとこ運命うんめいあらわすものでございます。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、いつということなしに、つばめは北方ほっぽうんでいけば、人間にんげん自分じぶんたちを保護ほごしてくれるものでこそあれ、けっしてがいくわえるものでないことをったのであります。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この北方ほっぽうしま真夜中まよなかに、しろゆき平野へいやで、すばらしい舞踏会ぶとうかいがひらかれたのです。
雪の上の舞踏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうした奇怪きかいはなしは、これまでに、二めであります。この鉄道線路てつどうせんろは、西南せいなんからはしって、この野原のはらなかでひとうねりして、それからまっすぐに北方ほっぽうへと無限むげんつらなっているのでした。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、去年きょねんなつ北方ほっぽうあおい、あおもりなかんでいました。
春の真昼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
天子てんしさまは、ごろから忠義ちゅうぎ家来けらいでありましたから、そんならなんじにその不死ふしくすりりにゆくことをめいずるから、なんじひがしほううみわたって、絶海ぜっかい孤島ことうにゆき、そのくに北方ほっぽうにある金峰仙きんぷせんのぼって
不死の薬 (新字新仮名) / 小川未明(著)