“よろこび”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
喜悦22.7%
19.3%
歓喜18.8%
11.4%
歡喜5.1%
歡樂3.4%
歓楽3.4%
3.4%
2.8%
1.1%
吉慶1.1%
慶事1.1%
1.1%
喜楽0.6%
悦喜0.6%
驩喜0.6%
悦賀0.6%
愉悦0.6%
慶賀0.6%
欣喜0.6%
0.6%
驚喜0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それ純なるをさなき魂は、たゞ己を樂しますものに好みてむかふ(喜悦よろこびの源なる造主つくりぬしよりいづるがゆゑに)ほか何事をも知らず 八五—
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
秘玉突然開櫝出ひぎょくとつぜんはこをひらきていづ瑩光明徹点瑕無えいこうめいてつてんかなし金龍山畔波濤起きんりょうさんはんはとうおこり龍口初探是此珠りょうこうはじめてさぐりしはこれこのたま。」これは抽斎の亡妻の兄岡西玄亭が、当時よろこびを記した詩である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
摩耶夫人まやぶにんもマリヤもこうして釈迦や基督を生みたもうたのである、という気持になって、上もない歓喜よろこびの中に心も体も溶けて行く。
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
こゝろたくさへおもほゆ。彼また吾をしたれば、おのれがよろこびにえとゞかねばとて、卑しみ果つることつゆなかりき。
一僧 (旧字旧仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
少年こども歡喜よろこびが詩であるならば、少年の悲哀かなしみた詩である。自然の心に宿る歡喜にしてし歌ふべくんば、自然の心にさゝやく悲哀もた歌ふべきであらう。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
即ちあらつぽい大きな歡樂よろこびけてさへゐれば
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
それに依って得た歓楽よろこびは、必ずしも大きくはありませんでしたが、その後に来た悲哀かなしみは、凄惨せいさんと言っても足りないくらい、実に想像を絶して、大きくやって来ました。
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
親戚しんせき朋友ほうゆうの注意すべきことなり。一度ひとたび互に婚姻すればただ双方両家りょうけよしみのみならず、親戚の親戚に達して同時に幾家のよろこびを共にすべし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
一は蘭軒の主家に於て儲君阿部寛三郎正寧まさやすの叙位任官のよろこびがあつたことである。事は次年歳首の詩の註に見えてゐる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
寺のおきてに依るに、凡そ尼となるものは、授戒に先だてる數月間親々の許に還り居て、浮世のよろこびを味ひ盡し、さて生涯の暇乞して俗縁を斷つことなり。
一枚の図をひく時には一心の誠を其に注ぎ、五尺の身体こそ犬鳴き鶏歌ひ權兵衞が家に吉慶よろこびあれば木工右衞門もくゑもんが所に悲哀かなしみある俗世に在りもすれ、精神こゝろは紛たる因縁にられで必死とばかり勤め励めば
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
慶事よろこびには……そのよろこびを諸人に分かつ意味で。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
彼はなかなか夫婦に増したるよろこびいだきて、ますます学問を励みたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼も亦「其前に置かれたる喜楽よろこびに因りてその恥を厭わない」のである、神は彼等のために善き京城みやこを備え給うたのである
信仰の先導者なるイエスは其の前に置かれたる喜楽よろこびに因りてその恥をも厭わず十字架の苦難くるしみを忍び給うた(同十二章二節)、信者は希望のぞみなくして苦しむのではない
致さんと心能承知なしければ長兵衞は大いに悦喜よろこび夫では私しも大いに安堵あんどしたり夫なら斯仕樣御前が行てくれるとあとは女一人なれば世帶せたいつひえるからとてもの事に世帶を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
取敢とりあへず五兵衞に話しけるに忽ち縁談えんだんとゝのひたれば久八の悦喜よろこび一方成ず然共されども物入を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
朝からあたたかだ。鶏の声が殊に長閑のどかに聞こえる。昨日終日終夜の雨で、畑も土も真黒に潤うた。麦の緑が目立ってうなった。緑の麦は、見る眼の驩喜よろこびである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
えかえる初春の空に白光しろびかりする羽たゝきして雲雀が鳴いて居る。春の驩喜よろこびは聞く人の心にいて来る。雲雀は麦の伶人れいじんである。雲雀の歌から武蔵野の春は立つのだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
聖天子万機ばんきの朝政をみそなわすによしとて、都とさだめたもうて三十年、国威は日に日に伸びる悦賀よろこびをもうし、万民鼓腹して、聖代を寿ことほ喜悦たのしみを、おおやけにも、しろしめせとばかり
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
私は、その時、その場で靜かに浮かんで來たさま/″\な愉悦よろこびを味ひ、分析しようとゆつくり歩いた。三時だつた。鐘樓の下を通ると、教會堂の鐘が時刻を報じた。
久し振で君に逢つて慶賀よろこびも言ひたいとおもつたけれど、どうも逢れん僕のからだだから、せめて陰ながらでも君の出世の姿が見たいと、新橋の停車場ステエションへ行つて、君の立派に成つたのを見た時は
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
... 今大王ゆきかれを打取たまはば、これわがための復讐あだがえし、僕が欣喜よろこびこれにかず候」トいふに金眸いぶかりて、「こはしからず。その意恨うらみとは怎麼いかなる仔細しさいぞ、苦しからずば語れかし」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
大祭日には、母につきてをぢがりよろこびにゆきぬ。その折には苞苴みやげもてゆくことなるが、そはをぢがたしなめるおほ房の葡萄二つ三つか、さらずば砂糖につけたる林檎なんどなりき。
『新坊さん!』と、智恵子は驚喜よろこびの声を揚げて、矢庭に砂の上の小供に抱着いた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)