いび)” の例文
父はいびきをかかなかったかしら、——慎太郎は時々眼を明いては、父の寝姿をかして見ながら、そんな事さえ不審に思いなぞした。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼女は夜中までいびきをかいて眠っていて、それから眼をさまして、「ぼんのくぼで、蟻が行列をやっている」
ゆうれい貸屋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
すると彼は、近づけた自分の耳に、かすかな規則ただしい阿賀妻のいびきごえをきいた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)