鹿島洋かしまなだ)” の例文
鹿島洋かしまなだの波をうつさんとして、そこに踏み止まった田山白雲は、波濤洶涌はとうきょうようの間に、半神半武の古英雄を想うて、帰ることを忘れました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鹿島洋かしまなだからこっちの風景をこの通り写して来ている、今もそれ、平潟ひらかたの村から勿来の関、有名な古来の名所だろう、それを、この通り図面にうつし取ったのだ
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
日本内地の地点からいえば、それは鹿島洋かしまなだを去る遠からず、近からぬところあたりであろうと思われるが、この船の上では、陸地はいずれの眼界にも見られない。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こうして、鹿島洋かしまなだで得た豪興が、一気に田山白雲を、ここまで突進させてしまったけれどここへ来てみると右様の始末で、「勿来」の文字が、帰るにかずを教えることしきりです。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
渺茫びょうぼうとして人煙を絶することは陸も海も同じようなる鹿島洋かしまなだ
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)