鳥渡ちょいと)” の例文
「今年はいつまでも、ほんとに暑いな。」と云った時お雪は「鳥渡ちょいとしずかに。」と云いながらわたくしの額にとまった蚊をてのひらでおさえた。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何を思い出したか、お葉は急に「あ、鳥渡ちょいと……。」と呼び止めたが、重太郎は見返りもせずに駈けて行った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「今一人来てるんだよ、朝っばらから何だね。それから、為さん、鳥渡ちょいと顔を貸して——」土間を通って事務所になっている表の入口へ出る迄、おきん婆あは低声こごえささやき続けた。
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「連れてっておれ、満更まんざら他人でもないだろう。皆な聞いて知ってるぞ。親指が留守なら構わないじゃないか。……いけないのか、いけなきゃア鳥渡ちょいとその辺の待合へ行こうよ。話があるんだ。」
夏すがた (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いだろう、鳥渡ちょいと検めても……。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
鳥渡ちょいと燈火あかりを貸し給え。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)