鬱々くさくさ)” の例文
と、肩の物といっしょに、胸の中の鬱々くさくさまで、束にして、おっぽり出すように、がちゃんと、土間の地面へ大きな音をひびかせた。
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鬱々くさくさするような降雨あめふりの日には、お島はよく浜屋へ湯をもらいに行って、囲炉裏縁いろりばたへ上り込んで、娘に東京の話をして聞かせたり、立込んで来る客の前へ出たりした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
結句、今では、妹たちの厄介者やっかいものになっていますが、出戻りの女って、世間は狭いし、うちの中は面白くないし、ほんとに、鬱々くさくさしちまいますよ
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「今この人と決めたんですけれど、今日は午前中病院へ行って、お昼から上諏訪へ遊びに行こうと思いますの。幾日もこんなところにいて鬱々くさくさして来たから。それに少し買いたいものもありますの。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
肉親と肉親とは、十日も暮らすと、間の悪さも取れたが、照子とは、よけいに気まずいみぞができた。三ツ指と泣き顔に、庄次郎は、鬱々くさくさして
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『おれなぞは、鬱々くさくさすれば、こうして酒をのんで、ごろりと手枕てまくらになれるから、まだ有難いが……』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そんな生き方はもう鬱々くさくさだ。宋清までを一生の穴蔵の番人にはさせたくない」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鬱々くさくさだ、執ッこい」
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)