鬢付油びんつけあぶら)” の例文
種々いろいろ仕掛は楽屋にちゃんと用意してあるはずだ。顔へすすを塗る手は古いが、眼尻へ鬢付油びんつけあぶらを塗って、頬の引っつりを無二膏むにこうこしらえるとは新手あらてだったね。
西洋の女にワキガの臭気あり日本の女に鬢付油びんつけあぶらの臭気あり。初めて西洋に行くものは地下鉄道車内の臭気に往々嘔吐を催す。日本にあっては霖雨の時節閉切った電車の中しばしば鼻を掩う事あり。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なかったのだ、鬢付油びんつけあぶらが。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
平次は、油障子に大きな碇を描いた入口の隣——砥石といし鬢付油びんつけあぶらや剃刀やはさみを並べた格子を指しました。