香滴にほひこぼ)” の例文
松の内とて彼は常より着飾れるに、化粧をさへしたれば、露を帯びたる花のこずゑに月のうつろへるが如く、背後うしろの壁に映れる黒き影さへ香滴にほひこぼるるやうなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)