風呂舎ふろや)” の例文
六兵衛はそう聞くなり両手で耳をふさぎ、悲鳴をあげるような声で「着物を出してくれ、旅支度をいそいでくれ」と叫び、風呂舎ふろやのほうへ走り去った。
ひとごろし (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
若い家士はなにか云いかけたが、彼は酒だとどなって居間へはいり、着物をぬぎすてるとそのまま風呂舎ふろやへいった。
改訂御定法 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼はいちど戻って、風呂舎ふろや口から作事方の御小屋の脇をぬけ、三重やぐらの蔭にひる過ぎまで隠れていた。それから井伊侯の下城するとき、供の中にまぎれ込んで、ようやく城外へのがれ出たのであった。
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)