頻出ひんしゅつ)” の例文
これらの言葉こそスリルそのものを生のままいい現わしているのであって、低調な作物にそれが頻出ひんしゅつするのはむしろ当然のことである。
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「勝は、私事を捨てて、天下の難に赴きうる。わしは、それが、羨ましい。わしの身辺には、紛擾、ますます頻出ひんしゅつして——」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
その上にこうした土地に固有な火山現象の頻出ひんしゅつがさらにいっそうその変化に特有な異彩を添えたようである。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
最近一、二年間、童話雑誌が頻出ひんしゅつして、少年文学に志す人々が多くなったのを見て、私は文壇がようやくこの方面にも覚醒したと思った。そして、このことを限りない喜ばしい現象だと考えた。
子供は虐待に黙従す (新字新仮名) / 小川未明(著)