頡頏けっこう)” の例文
次に嵐雪らんせつにも相応の弟子があって、その弟子も善く作るので、暗に其角と頡頏けっこうしている。その外にはいうべきほどの人はない。
俳句上の京と江戸 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
実際別山から東方を眺めて、これと頡頏けっこうする高さを有する山は、白馬連峰は距離が少し遠いので、鹿島槍ヶ岳の外には見当らないことになる。
如水は邪恋に憑かれた救はれ難い妄執の男、家康の四十の恋を目にとめたが、その実力秀吉に頡頏けっこうする大人物と評価して、俄に複雑な構想を得た。
二流の人 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
夢中で抵抗する妻の力と、不自由な姿勢の夫の力とは頡頏けっこうした。車は、小刻みに尻を左右に振り、いよいよ速度を上げて突進した。事故は、その直後に起こった。
あるドライブ (新字新仮名) / 山川方夫(著)
当時池之端数寄屋町の芸者は新柳二橋の妓と頡頏けっこうして其品致を下さなかった。さればこの時代に在って上野の風景を記述した詩文雑著のたぐいにして数寄屋町の妓院に説き及ばないものはほとんど無い。
上野 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
各人を本来の地位に復せしめながらあらゆる頡頏けっこう萌芽ほうがを根絶し、世界の広大なる一致に王位がもたらす障害を除き、人類を正当なる権利の水準に引き戻すこと、これ以上に正しい主旨があろうか
それがいずれも千七百四十米の圏で地図に記入されている。藤原山と頡頏けっこうする高さであるが、南の者の方が少し高い。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
支流の小繋沢も幽ノ沢と頡頏けっこうする大さで、本流と同様可なり奥まで魚釣が入り込むらしい。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)