静臥せいが)” の例文
私は仰向きに静臥せいがしながら、つくづく人工心臓にあこがれました。人工心臓は私が夢で見たごとく、たしかに疾病の恐怖を救うにちがいないと考えるに至りました。
人工心臓 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
寝床は妻の寝室と同じであるとしても、軽症者の静臥せいがすべきベランダにあった。ベランダは花園の方を向いていた。彼はこのベランダで夜中眼がめる度に妻より月に悩まされた。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
わたくしは心配性の逸作に向って、わたくしが父の死を見て心悸しんき亢進こうしんさせ、実家の跡取りの弟の医学士から瀉血しゃけつされたことも、それから通夜の三日間静臥せいがしていたことも、逸作には話さなかった。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
実験者が静臥せいがして居るほど飢餓を長く続けるのは、静臥によって瓦斯交換の仕事を減少しるために、反対に窒素固定機能が旺盛になると解釈するのが、最も適当であろうと思われます。
人工心臓 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)