雨靄もや)” の例文
すると、雨靄もやのむこうから、ボーッと汽笛がひびいてくる。E・D・Sエルダー・デムスターの沿岸船ベンガジ丸が、いまモザンビイクにはいってきたのだ。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
砂糖菓子のような回教寺院モスクの屋根も港の檣群しょうぐんも、ゆらゆら雨脚のむこうでいびつな鏡のようにゆれている。そのとき、仏マダガスカル航空フレンチ・マダガスカルサービスの郵便機が、雨靄もやをくぐりくぐり低空をとおってゆく気配。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)