かい)” の例文
やがて銅貨三銭をもってかいより始めつ。帽子を脱ぎてその中に入れたるを、衆人ひとびとの前に差し出して、渠はあまねく義捐ぎえんを募れり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こういう立場から遠慮なく申せば、現代陶工の所作にあきたらないものがありまして、かいより始めよという訳で研究を進めている訳であります。
近作鉢の会に一言 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
「まず人間の方で先に反古ほごになる訳だな。乞うかいより始めよか。人間の反古なら催眠術を掛けなくてもたくさんいる。なぜこう隗より始めたがるのかな」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「それでは——請うかいより始めよということがございますから、失礼して私から申上げます」
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「先ずかいより始めよということがありますから、最初にSさんに御願い致しましょう」
手術 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)