陶器師すえものつくり)” の例文
その人の往来を、仕事場の中から、何と云う事もなく眺めていた、一人の青侍あおざむらいが、この時、ふと思いついたように、あるじ陶器師すえものつくりへ声をかけた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
飢えて死ぬか。それを思うと、ほんに悲しい。きのうも隣りの陶器師すえものつくりの婆どのが見えられて、いっそ江口えぐちとやらの遊女に身を沈めてはどうじゃ。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
陶器師すえものつくりおきなは笑いながら見返った。彼は手づくりのつぼをすこし片寄せながら、狭い仕事場の入口に千枝太郎を招き入れた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こう前置きをして、陶器師すえものつくりの翁は、おもむろに話し出した。日の長い短いも知らない人でなくては、話せないような、悠長な口ぶりで話し出したのである。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「お前の久しい馴染みであった陶器師すえものつくりおきなが俄に死んだよ」と、叔父は気の毒そうにささやいた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
陶器師すえものつくりは、仕事に気をとられていたせいか、少し迷惑そうに、こう答えた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)