附着)” の例文
それに衣川の袖に檜葉ひばの枯葉が附着いていましたし、それからお宅の隣りの、屋根に接近した裏庭の檜葉の枝が折れていました。
秘められたる挿話 (新字新仮名) / 松本泰(著)
即ち汽車に附着いて来た新らしい野菜の匂が新聞やサンドウヰツチの呼声に交つてプラツトホームの冷え冷えした空気に満ちわたつてゐる。
新橋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
蜘蛛の白い体に、無数に附着いてる斑点まだらは、五味左衛門のはらわたによってけられた血の痕であり、その後、左門によって、幾人かの人間が斬られ、その血が飛び散って出来た斑点でもあった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「お祝いとは豪気だな」柏はミシミシと壊れかかった藤椅子へ腰を下すと、絵具の附着いた指先で無雑作に卓上の煙草を抜出して口へ持っていった。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)