阿波屋あわや)” の例文
そう云って悦子は、銀座の阿波屋あわやの包紙に包んである箱を取り出したが、中から出て来たのは紅いエナメルの草履であった。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
襟円えりえん半襟はんえり阿波屋あわやの下駄、「さるや」の楊子ようじ榛原はいばらの和紙、永徳斎えいとくさいの人形、「なごや」の金物、平安堂の筆墨、こういう店々は東京の人たちには親しまれている名であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
浜作はまさくで昼飯を食べて、西銀座の阿波屋あわやの前から道玄坂へタキシーを飛ばした。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
午後には四人で池のはた道明どうみょう、日本橋の三越、海苔のり屋の山本、尾張町の襟円えりえん、平野屋、西銀座の阿波屋あわや等を廻って歩いたが、生憎あいにく残暑のぶり返した、風はあるけれども照り付ける日であったので
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)