阿星あぼし)” の例文
「御浪人の阿星あぼし右太うた五郎さんも怨んでゐたし、やくざ者の投げ節の小三郎も怨んでゐたかも知れない、商賣敵の師匠のお組だつて、好い心持でなかつたことだらう」
「あつしは知りませんが、原の郷に阿星あぼし半七郎といふ、大變な浪人者が居ます。もとはお銀の好い人で、今は向島一帶を繩張りにして居る侍やくざですが、その男に訊いたらわかるでせう」
有徳の浪人阿星あぼし右太うた五郎は、ひどく心得顏に、平次と八五郎を迎へたのです。
「あっしは知りませんが、原の郷に阿星あぼし半七郎という、大変な浪人者がいます。もとはお銀の好い人で、今は向島一帯を縄張りにしている侍やくざですが、その男に訊いたらわかるでしょう」
散々手古摺てこずらした末、よく遊びに來るのは平野屋の若旦那と、投げ節の小三郎さん、それに御浪人の阿星あぼし右太うた五郎樣——などと覺束ない指を折つて見せるところまで、心持がほぐれて行きました。