鉄色かねいろ)” の例文
旧字:鐵色
白い光の紋流もんりゅうみだれに美しくえあがって、深みのある鉄色かねいろの烈しさと、無銘ではあるが刃際はぎわの匂いが、幾多の血にも飽くまいかと眺められる。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一応拭き清めてありますが、それにもまた血脂ちあぶらが浮いて、どんより鉄色かねいろの曇って居るのは唯事ではありません。
何か一もつありそうなお十夜——あのそぼろ助広の鉄色かねいろのようにトロリとした眼でお綱をる……。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)