金釘流かなくぎりゅう)” の例文
おもて書きは全部漢字で書くのが得意で、金釘流かなくぎりゅうの大小いろいろまじった字であるが、とにかく配達にはことかかないような漢字を書いていた。
日本のこころ (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
誰の字とも弥生はもとより知る由もないが、金釘流かなくぎりゅうの文字が野路のじ時雨しぐれのように斜めに倒れて走っている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かねて見覚えの金釘流かなくぎりゅうだね。ひとつ、ノレンのこと、腕自慢、江戸前トンカツ、千鳥足、右の如く変更のこと。コイ茶色地に、文字ウス茶そめぬきのこと。どうです
ニューフェイス (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
手代の幸吉は職業的な器用な字で封筒の稚拙味ちせつみは真似てもできそうもなく、娘の幾代の仮名文字の美しさも、下女のお道の金釘流かなくぎりゅうも、小僧の鶴吉のたどたどしい筆跡も
真面目な人が、へんに思いつめた揚句あげくで書くと、あんな工合に書体も奇怪な金釘流かなくぎりゅうになり易いものだし、また文章も、下手くそを極めるもののようである。要するに、まじめな人なのである。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
文字は金釘流かなくぎりゅう、文意もしどろもどろですが大骨折りで弁慶べんけい読みにすると