野方図のほうず)” の例文
青ペンキのはげた校舎裏の土俵の日溜ひだまりでは、ルパシカの紐の長い画学生達が、之は又野方図のほうずもなく長閑なすもうの遊び。
放浪記(初出) (新字新仮名) / 林芙美子(著)
今のように事毎ことごとに責任者を想像して、何万人の怨みを背負わせる様にはなって居なかったが、あまり道知らずに、野方図のほうずになって行く世間がくちおしくてならなかった。
花幾年 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
野方図のほうずの限りを尽せば尽せるようなものだが、この世の中にも世の外にも、必ず無制限力を制する制限力が、眼に見えたり見えなかったりするところに存するもので、ひとりピグミー風情にだけ
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わあわっわ……と叫んで、教師の首といわず肩といわず、およそぶら下り触れうるところに噛りつくのであった。よだれと鼻くそと手垢をこすりつけ、なぜかそうして満足し野方図のほうずにはしゃぎまわった。
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)