郷武者さとむしゃ)” の例文
同日中には、領下各地の郷武者さとむしゃたちも、それぞれの郷へ帰って行き、家中一統の間には、久々の謁見やら、内輪の小宴なども行われた。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またその者は、正成、正季の兵法の師で、戦前には近郷の若い郷武者さとむしゃらが、よくそこの山荘に出入りしていたなどということもわかっていた。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、錦旗をのぞんで、ここへせ参じるやからが連日絶えず、それらの郷武者さとむしゃどもの口から世情さまざまな声が、自然入ってくるからだった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、火の鳥は、いつのまにか、ここらの郷武者さとむしゃの間に、卵をかえしていた。彼の肉親のうちからも孵っている。弟の正季などもその一人だ。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、顔が揃うと、年かさの一人が、やおら御堂格子みどうごうしの前へすすみ出た。そして、鎌倉者には見られない素朴な郷武者さとむしゃ振りで、こう呼びかけた。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聞きつたえた足利譜代ふだい郷武者さとむしゃたちは、気早にもかびを払ッた伝来の物ノ具などして。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だから越後兵以外、奥武蔵の郷武者さとむしゃばらもせ参じて
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)