辛気臭しんきくさ)” の例文
「三年程前から、慰みにやつて見たんどす、女中衆をなごしと二人きりで寂して仕様おまへんよつてな。三味線教へてたかて辛気臭しんきくさうてあきまへん。うにやめて了うたんどす。」
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
「ああ辛気臭しんきくさア」と私の人さし指をキリキリと噛みはじめた。痛いッと引抜いて
世相 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
生れつき急勝せっかちで、注意力が散漫で、じっと一つ事に身を入れることの出来ない奥畑は、見る物と云ってはせいぜい映画ぐらいなところで、芝居などは辛気臭しんきくさがってめったにのぞかないのであるが
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)