転手てんじゅ)” の例文
ちょこなんとかしこまり、おもむろに琵琶を取り上げてキリキリと転手てんじゅを捲き上げると、その傍らに介抱気取りで両手を膝に置いて、端然と正坐しているのが清澄の茂太郎です。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
というあいずを聞くと、各自、うしろにおいていた琵琶のふくろを解いて、いとを調べ出した。そしてしばらくは大勢のいとのしらべや転手てんじゅを締めるなどでゆかはただ水の乱声らんじょうするような風情ふぜいでしかない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)