身仕舞みじまい)” の例文
それから軽い身仕舞みじまいをして、すぐ表へ出た彼女は、寄道もせずに、通りから半丁ほど行った所にある、新らしい自動電話の箱の中に入った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
櫛巻くしまき小柳こやなぎ帯の引っかけで、いけぞんざいな身仕舞みじまいなのが、お綱は、その人だけに気がひけた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしは身仕舞みじまいを正して、『客間』なるものへ入って行った。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
念入ねんいり身仕舞みじまいをした若い女の口から出る刺戟性しげきせいに富んだ言葉のために引きつけられたものは夫ばかりではなかった。車夫も梶棒かじぼうを握ったまま、等しくおのぶの方へ好奇の視線を向けた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女子おなごは足手まとい、いずれはそうと、先頃、新宮十郎行家様がお立ち寄りの時から、おはなしを洩れ伺って、あらかじめ身仕舞みじまいはいたしておりました。わたくしの事は、お案じくだされますな」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)