“蹙(せ)” の例文
彼等の抱く如き思想は、もはや眼前の一大惨禍を喫着(きっちゃく)して、実は甚だ行詰っているのである。隧道(トンネル)の前には山勢蹙(せ)まりて窮谷(きゅうこく)をなし、前に進むべき一条の路だに存せぬ。
列強環視の中心に在る日本 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
乗鞍と誤認したるほどなりき、乗鞍に至りては、久しく離別の後に、会合したる山なり、今日大野川に見て、今ここに仰ぐ、帽を振りて久闊を叫びしが、峰飛びて谿蹙(せ)まる今も
前面には阜(おか)のような山が二つ、小隆起をしている、赤沢岳頂上の三角点も、大空を指さしている、谷は次第に高くなる、高くなると共に蹙(せ)まって来て、雪の蜿(う)ねり方も、波のように烈しいが
槍ヶ岳第三回登山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)