蹌踉さうらう)” の例文
五分、十分、——トウルゲネフはとうとうたまり兼ねたやうに、新聞を其処へはふり出すと、蹌踉さうらうと椅子から立ち上つた。
山鴫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
滞樽たいそん二週の間、或時は満天煙の如く潮曇りして、重々しき風と共に窓硝子うつ落葉の二片三片もうら悲しく、旅心漫に寂寥を極めて孤座紙こざかみに対するに堪へず、杖を携へて愁歩蹌踉さうらう
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
私は乞へなかつた、そしてまたもや蹌踉さうらうと去つた。
黄髪わうはつ伴天連ばてれん信徒しんと蹌踉さうらう
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)