蹌々よろよろ)” の例文
と、身を泳がせながら、侍の腕が新九郎のこじりをぐいと掴んだ。酔っているのですぐ足が浮く、新九郎は蹌々よろよろと後ろへ引かれた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遊ぶ心と、遊ばせる方の心とが蹌々よろよろ、歩いている間も、不即不離、つまり阿呍あうんの呼吸というものである。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もろくも郁次郎は、両刀をすてて、力なく、蹌々よろよろと立ち上がった。——花世は、ただれた眼を、あげて、その姿にまた泣いた。情けない、丸腰になった、男の姿を——。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
壁に手をわせて蹌々よろよろと入って来るのである。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)