赤葵色モーヴ)” の例文
石黒大尉の無感覚な顔が、こんな生彩を帯びることもあるのかと思われるほど、額際まで生々とした赤葵色モーヴに染り、手摺に掴まって寝ている山内を見おろしながら
ノア (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
港は薄い赤葵色モーヴから澄んだ水色になり、シルエットのように浮かんでいるアメリカの軍艦の探照燈が、青白い長い手で雲の腹を撫でたり、岬のほうを手さぐりしたりしている。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)