賀名生あのう)” の例文
それに反して、さっそく、活気のある朝議となっていたのは賀名生あのうの山村の朝廷である。暗澹あんたんたる前途に一道いちどうの光明をここに見たのだ。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
為に後村上天皇は難を賀名生あのうに避けられ、吉野の行宮は師直の放火によって炎上し、南朝の頽勢は既に如何ともし難い。
四条畷の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
隠岐おきへおともされた。後村上天皇の御母儀。後皇后に昇られ、正平十四年四月二十九日賀名生あのうで崩御。御年五十九。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
後村上天皇は、賀名生あのう発輦はつれんされたとも、まだともいわれ、いずれにせよその親衛軍を前駆に、近く都門へ還幸あるにはちがいない——
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから先は、楠木正儀まさのりたちが守護して、ともかくお身だけは無事に賀名生あのうへひきあげられたものの、なんと儚い京都還幸の希望だったことか。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)