財袋たくわえ)” の例文
川上がなくなるすこし前の事であった。貞奴夫婦を箱根で見かけた時は、貞奴は浴衣がけで宮の下から塔の沢まで来た。その折など決して彼女が、自分の財袋たくわえだけ重くしている人とは見られなかった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)